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ショートバス

ショートバス [DVD]

ショートバス [DVD]



オススメ度 ★★★★☆

《あらすじ》
幸せな結婚をしているが一度も絶頂に達したことのない恋愛カウンセラーのソフィア。新たなパートナーを探しているゲイカップル、ジェームズとジェイミー。リアルな人間関係を求めるSM嬢セヴェリン…
NYにあるアンダーグラウンドのクラブ「Shorbus」には、それぞれ“何か”を求める人々が集う。


※以下ネタバレありです


《感想》
とてもあったかい。

ヘドウィグアンドアングリーインチもそうだけど、
ジョンキャメロンミッチェルが撮る作品はあったかい。

ただこの映画に限って言うと
上のオススメ度という言葉が適切ではない気もしていて…

しょっぱなからなかなか過激なシーンで始まり
その後もその過激さが緩まることはないので
その表面だけをダイレクトに受け止めてしまう人にとっては
なかなか受け入れ辛い作品であることは間違いないから。

でも、その事実をクリアできる人には是非最後まで鑑賞してもらいたい
観た後、あったかい気持ちになるはず。


複数いる登場人物のなかで一番最初に登場するジェームズの顔を見ただけで
あ、きっとなんかいい作品だ
って思ったな
ひとつの表情に色んな感情が見えて


傷だらけでもがくヘドウィグに比べて
ショートバスはなかなか救いが多い作品だったように感じた
登場人物みんなの性格が穏やかだからそう感じるのかも


色んなピースのパズル
片面でハマっても
反対側の面は塞がらない
そこを一瞬でも塞ぐことが実はすごく大切なことだったのかも


この映画は「性」という切り口がために
酷評されているのを見ることも少なくないけど

性に、愛に、生き方に
色んな形があるのは自然なことで
歩いていく道すがら
色んな価値観と触れて
受け止め、あるいは受け入れて
ときに受け入れてもらいながらまた歩き出す

それでいいじゃない
それがいいな

一瞬でも、一生でも
信じて繋がることって価値がある

と思わせてくれる
そんな人間でありたいと思わせてくれる
そんな映画。

セヴェリンがジェームズに言う
彼氏とそっくり、ジェリービーンズみたい
って言葉が好き


ところで“戦争反対とSEXの園”に
ジョンキャメロンミッチェルが綺麗めに映ってた気がしたんだけど
気のせい…?

リリーのすべて

2016/アメリカ/トム・フーバー

オススメ度 ★★★★★


《あらすじ》

1928年、デンマーク。風景画家アイナー(エディ・レッドメイン)は、妻であり肖像画家のゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)の絵のモデルとしてドレスを着たことをきっかけに、自身の内側に秘められた女性性に気付いていく。それ以来、“リリー”という女性として過ごす時間が増えていったアイナーは、困惑と苦悩を深めていく。一方ゲルダも、夫が夫でなくなっていくことに困惑するが、次第にアイナーの本質、リリーを受け止め二人で解決の道を探し始める…。


※以下ネタバレありです

《感想》

一週間は引きずりました。
通勤中、会議中、打ち合わせ中…
ふとした時に、アイナーの切なく儚げな笑顔が一瞬浮かんでくるんです。
で、その度わたしは動きが止まって心臓がぎゅっとなる。
仕事しろよって感じですが。

エディ・レッドメインは紛れもなく名優です。

この作品は実話をもとにしたフィクションですよね。
色々調べてみると実際とは違う点も多々あるようですが、それはそれ。

始まりからラストまで、ずーっと切なく美しい映画でした。

リリー演じるエディの所作の美しさは、女性であるわたしでもうっとり見惚れるレベル…
こんなに素敵な女性、なかなか居ないですよね。


とにかく、リリーとゲルダ、というよりゲルダの愛情が凄いんです。
お互いが戸惑いながらも支え合い、幸せへの道を模索する。
これが“絆”なのか、と気付かされた気がしました。

観ている最中、
ノーベル経済学賞を受賞した数学者ジョン・ナッシュの反省を描いた映画「ビューティフル・マインド」を思い出しました。
ジョン役のラッセル・クロウ、妻アリシア役のジェニファー・コネリー共に素晴らしい演技でこちらもわたしにとっては心に残る名作です。

アイナーが徐々にゲルダへそっけなくなっていくあたりは
アイナー自身も女である事に思い切り舵を切らないと崩れてしまう、という心からなのかなぁ…とは思いつつも悲しかった。
それでも寄り添うゲルダの心の深さたるや…


人ってここまで誰かを想えるのですね。

どうか観て、一週間引きずってください。

ザ・フライ

1986/アメリカ/デヴィッド・クローネンバーグ


オススメ度 ★★★★☆

《あらすじ》

科学者のセス(ジェフ・ゴールドブラム)は、2つのポッドのうち片方に入れた物体を遺伝子レベルで分解し別のポッドへ送り、元の状態に再構築するという物質転送機「テレポッド」の開発研究を続けている。有機物の転送において失敗を繰り返すも、研究の取材に来た記者のヴェロニカ(ジーナ・デイヴィス)の助言からヒントを得、遂に生物の転送に成功。恋人となったセスとヴェロニカであったが、ささいなすれ違いの末酔った勢いでセスは自らテレポッドへ入る。転送は成功、以前より活力がみなぎるセスだったが、やがて彼の身体に次々と異変が起き始める。実験プロセスを解析すると、セスの入った転送ポッドに1匹のハエが紛れ込み、再構築の際に遺伝子レベルでセスとハエが融合されていたことが判明する…。


※以下ネタバレありです

《感想》

あまりに切ない…

TSUTAYAにはホラーの棚に置いてありましたがわたしにとってこれはホラーではない、絶対。

まずキャスティングが良い。
ジェフ・ゴールドブラムはイケメンなのに
遺伝子100%人間の頃から若干ハエっぽく見える。
褒めてます!

もともと一人きりで一つのことをずーっと研究してきたセス、
身体に異変が起きはじめたころの爛々とした目がすごく印象的。

次第にハエ人間化が進むにつれ
恐怖と興奮の振れ幅が大きくなっていく様には目が釘付けになりました。
凄い。

見た目がもう人間とは言えないだろって頃に言っていた
「僕はハエ界で最初の外交官になるかも」
でしたっけ…?
この台詞って凄い。

ラスト、大暴走。
切ない大暴走。

ただ、完全にハエ人間化した姿は
一周まわって可愛く見えました。

とはいえ諸々80年代のクオリティで良かったと思うわたしがいます。

本作品の監督であるデヴィッド・クローネンバーグの息子、ブランドン・クローネンバーグの作品「アンチヴァイラル」は
なかなかの衝撃でした。

この親子に現代のCG技術を与えるのは危険すぎる。
褒めてます!!

ペット・セメタリー

1989/アメリカ/スティーヴン・キング

ペット・セメタリー [DVD]

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オススメ度 ★★★☆☆

《あらすじ》

医師のルイス一家(妻のレイチェル、娘のエリー、息子のゲイジと猫のチャーチル)は街から離れた寂しげな土地に引っ越してくる。あるとき、猫のチャーチルが車に轢かれて死んでしまう。チャーチルを可愛がっていたエリーを気の毒に思った隣人ジャドは、埋めた者が蘇るという呪われた墓地の秘密をルイスに打ち明けるが…。



※以下ネタバレありです

《感想》

もっと訴えかけてくる映画かと思った、というのが正直なところ!
多分、わたしがゲイジくらいの子を持つ親であればもっと響いたのかもしれません。

そーゆー感情移入は置いといて
単純に物語として観た時、
誰が心の底で何を意図して行動しているかが読めない…

まず隣人ジャド。

アイリーンの愛猫チャーチルが死んだ時、蘇り墓地の秘密をルイスに教えます。
アイリーンが可哀想だから、と。
一見、お?こいつは頼りになる親切なオッサンか?と。

でもこのオッサン、なんかちょいちょい怪しい…

ゲイジを蘇らせようとするルイスにやめるよう説得はするも、阻止の仕方がぬるい!
なに呑気にガレージでビール飲んでるの!
原作ではその行為に「見張り」という意味合いの描写があるのでしょうか…?
映画ではジャドがガレージに出た時には既にルイスは蘇り墓地にゲイジを埋めた後。
遅っ!
本気でルイスの暴走とめる気ないだろ!
悲劇しか待ってないこと知ってるくせに!
そもそも2回蘇り墓地に訪れた事があるって言ってたけど、1回は愛犬が死んだ時、もう1回はいつ?!誰をどうした?!
本当に100%良心から秘密をルイスに教えたの…?


って疑心暗鬼になり出すと、亡霊パスコーも怪しく見える。
まるで「行け」って言ってる?ってレベルに「行くな」の一点張り。

事故直後にルイスが助けようとしてくれたことに恩義を感じてるらしいけど、
救急車の手配を指示して以降ほとんど突っ立って見てただけだからねルイス。
診る暇もなく死んでしまったもんね。


そしてあの、レイチェルが幼い頃病気で死んだお姉さん…
怖すぎ…
見た目もさることながら
「ゲイジとわたしでお前を連れて行くよ」のくだりは失神レベルに怖かった!

なんでゲイジがチャッキー化してること知ってるの?
レイチェルのトラウマが生んだ幻覚ならあの時点でゲイジに起きた事を知るはずないよね?
幻覚じゃないなら、本当にお姉さんは幼いレイチェルを怨んで死んでいったの…?

ここの救いの無さに絶望しました。
幼いレイチェルに何が出来たっていうの。

で、結局娘のエリー以外死んでしまう。
とにかく救いのない映画でした。
悲劇の連鎖が酷い。

数年後、もう一度観ようと思います。

私が、生きる肌

2011/スペイン/ペドロ・アルモドバル

私が、生きる肌 [Blu-ray]

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オススメ度 ★★☆☆☆

《あらすじ》

天才形成外科医のロベル(アントニオ・バンデラス)は最愛の妻を亡くす。それ以来、人工皮膚の開発に打ち込み、次第にあらゆるモラルを打ち捨てていく…。



※以下ネタバレありです

《感想》

久々にアントニオ・バンデラスが観たくなったんです、あの色気が。
この作品のDVDジャケットの彼、最高にカッコよくないです?
で、借りました。

観てみると……変態かよ!!!

とにかく、あらゆる変態が出てきました。

前半は謎がいっぱいで、楽しめました。
ベラは何者?
なぜ監禁状態?
マッドサイエンティスト感溢れるロベルは一体どこを目指してるの?

で、最後まで観た結果
ロベルのゴールはどこだったのか、結局わたしにはわかりませんでした。
ロベル自身はわかってたのかな?

時系列で大まかに整理するとこうなります。

・ロベルの愛する妻ガルが異父兄弟であるセカと不倫し駆け落ち、その道中事故りガル大火傷、セカ逃亡
・ロベルの必死の介護でガルは徐々に回復するも自分の変わり果てた姿に耐えられず投身自殺
・自殺現場を目撃した娘のノルマは精神を病み入院するも、これまたロベルの介護により通院レベルにまで回復
・あるパーティでノルマが青年ビセンテに乱暴されかけ気絶、ノルマはまた入院
・怒ったロベル!ビセンテを誘拐監禁!
・ノルマが死んだ日、遂にロベルはビセンテを手術台の上で“女”に変える
・その後もロベルの手によりビセンテは徐々に見た目が亡き妻ガルにそっくりの女性ベラに変えられていく
・なんか2人の間に絆らしきものが見え隠れ…?
・いや、嘘。ベラ=ビセンテはロベルを射殺
ビセンテは実家に戻り、母と元同僚に事実を打ち明けエンド


まとめたら、ロベルとセカの母親であり、ロベルには母親だということを隠してメイドとして仕えるマリリアの存在が消えました。

必要でした?マリリア?
わたし的あらすじから消えるレベルなんですけど…
言うこともなんか胡散臭いんですよね。
「この子宮は狂気を生む!」とか
死に際の「こうなると思った」とか


そんなこんなで、個人的にはノリきれませんでした。


ロベルがワイヤーで盆栽の形を作ってるシーンは考えさせられたというか、
ロベルのベラ作製は
もはや愛とか復讐とか通り越えて
趣味、癖、の域なのではないかとゾクッとしました…

もし本当にそうだとしたら、ゴールなんてないですもんね。